夏目漱石の短編に「文鳥」というお話があります。
文鳥愛好家のなかでは超有名なこのお話。
この物語の何が秀逸かというと文鳥の鳴き声を「千代々々(ちよちよ)」と表現しているところ。
文鳥の鳴き声
夏目漱石のこの「文鳥」に出てくる文鳥。鳴き声を「ちよちよ」と表現しているところからも、オスではないかと推察されます。
オス文鳥は求愛のため、さえずります。ある程度の長さの歌を歌います。この歌は個体によって個性がありますが、集団でいると他の文鳥の鳴き方をまねてさえずるようになるため、似たような歌になります。
我が家の文鳥も一番最後にお迎えした子は、もともと家にいた一番しっかりさえずる子の節をまねて、さえずるようになりました。
さえずっているだけの時もありますが、本気モードになるとその場でピョンピョン跳ねながらさえずります。これは求愛のダンスだと言われています。ただ、むっちりした文鳥が飛べ跳ねている姿は、あまり軽やかではなく「モッタモッタ」した印象を受けます。うちの子は止まり木から足が離れず、屈伸運動のようになっているだけの時もあります。
メスはどうなのかというと、基本的にはメスはさえずりません。「ピッピッ」と短く鳴きます。
オスだと挿し餌が終わって2週間くらいすると、小さな声でさえずりが始まるので、さえずるかどうかで雌雄を判断することができます。
夏目漱石の「文鳥」
この夏目漱石の「文鳥」。文鳥の鳴き声の表現は可愛らしいですが、お話は可愛らしいお話ではありません。
「文鳥」には主人公の男性の身勝手さ、そして、愛されたいけど愛されないその理由に気づくことのできない愚かさや虚しさ等が描かれています。この主人公は夏目漱石自身ともいわれています。
夏目漱石の一般的に良く知られる作品に隠れて、なかなか目立たない作品ですが、細やかな設定や情緒等とても素晴らしい作品です。お話としては短く、読みやすいので読書感想文にもおススメです。
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