鏡像認知能力とは「鏡に映っているのは自分自身である」ということを理解する能力です。
この能力は、古くは霊長類にのみ備わっていると考えられてきました。
鳥の記憶力
「鳥頭」や「鶏は三歩歩くと忘れる」など、昔は鳥の知能はさほど良くないと考えられてきました。
カケス(Garrulus glandarius)はスズメ目カラス科カケス属に分類される鳥です。食性は雑食ですが、「貯食」といって虫や木の実を地面や樹皮などの間に隠す習性を持っています。カケスはこの貯食の場所をよく覚えていて、きちんとその場所に戻ってきます。
この習性を利用した研究が進められ、カケスはいつ、どこで、何をしたかを覚えているということが証明されました(2001)。
同じような習性をもつ鳥としてモズ( Lanius bucephalus )が良く知られています。モズは「はやにえ」といって生きた虫を枝の先に突き刺して食糧を保存していますが、そのまま放置される「はやにえ」が多いため、モズはちょっと忘れっぽいと思われていました(2019)。
しかし、最近の研究では「はやにえ」はほとんど消費されていることが証明されたため、やはりモズもある程度の記憶力を有していることが考えられています。
鳥の鏡像認知能力
鏡像認知能力を図るにはマークテストという試験が行われます。対象となる動物の顔や体にマークやシールをつけ、鏡を見せたときにそれを取ろうとしたり、気にしたりといった行動をみせるかどうかという試験です。
カササギ(Pica pica)は、鳥綱スズメ目カラス科に分類される鳥類ですが、2008年に鏡に映る自分の姿を「自分である」と判断できるという結果が報告されています。
その他のカラスの仲間やオウムでも鏡の性質を理解し、見えないところを見るために鏡を使うという行動を起こすことが知られていますが、このマークテストはなかなかクリアできないそうです。
しかし、近年ではホンソメワケベラという小さな魚に鏡像認知能力があることが、日本の研究者によって証明されました。
この結果は、これまでの動物の知能に関して言われてきた霊長類至上主義を覆すものであり、鏡像認知能力を図るためのマークテストのあり方についても問題を提示しています。
もしかしたら、私たちが理解できていないだけで、鳥でも魚でも種類や大小にかかわらず、実はさほど大差のない能力を秘めているのかもしれません。
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